「JUNE BRIDE〜妹への手紙(姉の食卓)」前編 2023年6月

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ボイスドラマの内容

登場人物

  • 妹(8歳/17歳)・・・10歳も年の離れた姉を慕っている
  • 姉(18歳/27歳)・・・年の離れた妹と仲良し。結婚式直前のある日・・・
  • 父(44歳/53歳)・・・なにより娘たちを愛する歴史学専攻の大学教授

Story〜「JUNE BRIDE〜妹への手紙(姉の食卓)前編」

<シーン1/自宅リビングにて(妹17歳/父53歳)>
妹:「いやあね、今日も雨・・・」
父:娘がリビングの窓から空を眺めて、恨めしそうにつぶやく。
妹:「来週は、晴れるかなあ・・・」
父:「大丈夫。式の日にはきっと晴れるよ。お父さん、晴れ男だから」
父:それでもまだ、祈るような表情で空を見つめる娘。
正確に言うと、下の、娘。
彼女には、10歳も年の離れた姉妹(きょうだい)がいる。
来週、ジューンブライドになる姉だ。
2人は、妹がまだ幼い頃から
年の差なんてまるで関係なく心を通じ合わせていた。
<シーン2/インテリアショップにて(妹8歳/父44歳)>
妹:「お姉ちゃ〜ん、これ、かわいい!」
父:姉の大学入学が決まり、一人暮らしをはじめるとき
家族で行ったインテリアショップ。
妹は、コンパクトな食卓を目ざとく見つけて
大きな声で姉を呼ぶ。
妹:「お部屋、ちいさくても、これなら大丈夫」
父:さすが私の娘。
姉がワンルームに住むなんてひとことも言ってないのに。
しかも、彼女が推す食卓は、グラストップのローテーブル。
当時のハイトレンドだった。
姉も満面の笑みで妹の頭を撫でる。
年は離れていても、まるで親友のような姉妹だ。
妹:「ここにお花を置いて、お姉ちゃんと一緒にお茶を飲むの」
父:「お姉ちゃんは一人暮らしだからね」
妹:「だから、寂しくないように私がそばにいてあげる」
父:「お姉ちゃんちは遠くだから、1人じゃいけないよ」
妹:「う・・・」
父:つぶらな瞳を潤ませて、口をつぐむ娘を見ていると
こっちが切なくなってしまう。
結局、なんだかんだと理由をつけ、
姉の暮らす東京まで何度連れていったことだろう。
その都度、食卓の一輪挿しには姉の大好きなミモザを生け、
とっておきの茶葉で紅茶を淹れて、いつまでも語り合う。
そうそう、ミモザの花言葉は「感謝」「友情」・・・
互いに「感謝」し、「友情」を深めていく。
そんな2人を見るのが、私の一番幸せな時間だった。
<シーン3/インテリアショップにて(妹17歳/父53歳)>
妹:「お姉ちゃん、今度は大きな食卓にするんでしょ」
父:結婚式の1週間前。
家族で出かける最後のインテリアショップ。
いや、最後じゃないかな。
3人で出かけるのは、最後かも。
彼女は姉と腕を組み、新居の家具を見て回る。
楽しそうな笑顔の合間に見える切ない表情。
まもなく新郎となるお婿さんは、
ハネムーン休暇のためにハードワークをこなしている。
代わりに、姉と新居のインテリア選びを任されたのが、彼女だった。
妹:「え・・・この食卓?
こんなん全然大きくないよ。
だってこれから家族がいっぱい増えるじゃない」
妹:「ベッドは、シングルからダブルね。
そこにベビーベッドが増えていくんだから」
妹:「一人暮らしのときは置けなかったソファも必要だよ。
私が遊びに行っても3人で座れるような、大きなソファ」
父:どうやら私の出る幕はなさそうだ。
妹:「あ、雨やんだみたい」
父:「ほらね、お父さん晴れ男だって言ったろ」
妹:「なに言ってんの。結婚式、来週だよ・・・」
父:そう言いながら、満面の笑みが彼女を包む。
慌ただしく式の準備に追われる姉をサポートしながら
リビングで妹と過ごす和やかなひととき。
1週間前のビフォー・ウェディングは、
凪いだ海のように、ゆったりと流れていった。
妹:「お父さん、私たちの席こっちだよ」
父:席札を確かめながら、腰をおろす。
隣に座る娘は、テーブルを眺めて不思議そうな顔をしている。
妹:「お父さん、席札の下になにかある・・・」
父:席札に隠れるように折り畳まれた純白のナプキン。
そこに包まれていたのは・・・
妹:「手紙だ・・・」
父:ゆっくり、こわれものを扱うように、そっと手紙を開いていく。
妹:「私の大切な妹へ・・・
あなたが私の妹でいてくれることに感謝しています。
あなたが私の妹でいてくれることに誇りを感じます。
あなたが私の妹でいてくれることが、私の人生の宝物です。
結婚は新しい旅立ちですが、私たちの絆は永遠です。
これからは、あなたが輝く番。
輝いていくあなたを見るのが私の喜びです」
父:大粒の涙が娘の頬を伝わる。
妹:「お祝いされる方がお祝いしてちゃだめじゃない・・・」
父:最高のクライマックス。
まだ結婚式も始まっていないのに・・・
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