「天の川の約束〜IROTTA CHIC」前編 2023年7月

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ボイスドラマの内容

登場人物

  • 女性(36歳/29歳)・・・IT企業でWebデザイナーをしている。彼とつきあって7年目
  • 男性(34歳/27歳)・・・大手弁護士事務所で働くジュニアアソシエイト

Story〜「天の川の約束〜IROTTA CHIC/前編」

<シーン1/女性36歳/男性34歳>
男性:「転勤!?」
女性:「うん・・・」
男性:「・・・いつから?」
女性:「来月・・・」
男性:「・・・そっかぁ・・・で赴任先は?」
女性:「L.A.」
男性:「え・・・」
女性:「うちの会社、来月L.A.ブランチをオープンするの」
男性:「・・・そう・・・」
女性:「私、あなたと出会う前から、海外勤務の希望を出してたんだ」
男性:「じゃあ、願いが叶ったんだ」
女性:「うん。でも・・・」
男性:「よかったじゃないか」
女性:「え・・・」
男性:「お祝いしなきゃ。盛大にやらないと」
女性:「・・・うん・・・」
男性:彼女から告げられた、突然の海外赴任報告。
実は、僕にはまるで死刑宣告のように感じられた。
<シーン2/女性29歳/男性27歳>
孫娘:彼女と初めて出会ったのは、いまから7年前。
インテリアショップで、僕がオフィスに飾る絵を探していたときだ。
オフィスって言っても、小さな弁護士事務所。
僕は27歳だったけど、弁護士になりたて、1年目のジュニアアソシエイトだった。

立ち止まって眺めていたのは、モンローをコラージュしたキラキラ系の絵画。
怪しく微笑むブルーグレイの瞳に、僕は長いあいだ、魅入られていたんだ。
女性:「うふふ・・・」
男性:小さく、控えめな笑い声で、僕は我に帰った。
男性:「あ・・・」
女性:「あら、ごめんなさい。笑うつもりはなかったんだけど」
男性:彼女は、大手IT企業に務めるWebデザイナー。
僕よりふたつ年上の人気クリエイターだった。
女性:「私もモンローは好きよ。
ノーマ・ジーンの方がもっと好きだけど」
男性:「あなたもインテリアを探しに?」
女性:「そう。私をゆっくり眠らせてくれるインテリアをね」
男性:聞けば、仕事は多忙を極め、睡眠不足の毎日。
安眠できるベッドを探しにインテリアショップへきたのだという。
女性:「睡眠導入剤に頼るのはいやだから」
男性:僕も彼女も、もちろん、リアルなモンローはしらないけれど、
セクシーな笑顔にはお互い共感していた。
イヴ・モンタンには程遠かったけど、
1960年の映画「恋をしましょう」のように、僕たちの物語ははじまった。
気がつけば、あっという間に7年という月日が流れていた。
女性:「おまたせ」
男性:「行きたいところ、ある?」
女性:「枕とマットレスを見に行きたい」
男性:別に意識しているわけじゃないんだけど、
僕たちのデートスポットはなぜかいつもインテリアショップ。
今日も、コイルスプリングという素材のマットレスに出会って
彼女のテンションはどんどんあがっていく。
ベッド、枕にシーツ、かけぶとん・・・
彼女の睡眠環境がみるみる充実していく。
一緒にインテリアを見てまわるうちに、
いつしか、彼女との未来を思い描くようになっていった。

「七年目の浮気」

じゃあないけれど・・・
七年目のある日、L.A.転勤という判決がいきなりつきつけられてしまったんだ。
男女:「乾杯」「乾杯」
男性:「ねえ・・・ひとつだけお願いがあるんだ」
女性:「・・・なあに?・・・引き止めるならいまよ」
男性:「え?」
女性:「やだ、真剣な顔。冗談に決まってるじゃない」
男性:「だよね・・・あの、僕たち・・・」
女性:「え・・・」
男性:「僕たち、これから毎年、この日に会わないかい?」
女性:「この日・・・星祭(たなばた)の日?」
男性:「そ、牽牛・織女の逢瀬のように」
女性:「雨が降ったらどうするの?」
男性:「カササギにお願いすればいい」
女性:「そのときは私がカササギになってあげる」
男性:笑顔のなかに変わらぬ思いを確信したいま、
僕はやっと、彼女のL.A.行きを誇らしいと感じた。
僕たちの道はまだ、未来へ続いている。
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