「遅れてきた春〜ねむりデザインLABO/後編」 2024年6月

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ボイスドラマの内容

登場人物

  • 女性(28歳)・・・前編から3年後。変わらずVチューバーを続けながらダンスの公演を定期的におこなっている。アバターを使ったキャリア授業は小中学校で広がり、現在は週に6コマを受け持つ。でも実は子供が苦手。
  • 男性(30歳)・・・30歳を迎え主任教諭になった。キャリア教育には特に熱心でドローンや生成AI技術などの専門家を呼んでさまざまな授業を取り入れている。彼女とは付き合いはじめて3年目を迎えプロポーズを考えている。子供が大好き

Story〜「遅れてきた春〜ねむりデザインLABO/後編」

<シーン1/小学校の教室>
SE(学校のチャイム/小学校の教室)
彼女:「はい、今日の授業はここまでにしましょう。
みなさん、生成AIの使い方はしっかりマスターしましょうね」
SE(小学校の教室/子供たちの返事)
彼:「みんな、テキストを使った生成方法はもう理解したな。
来週は全員に発表してもらうぞ」
彼女:「次回はフリーハンドで描いたイラストを生成AIで仕上げてみましょう。
それを3Dプリンターでフィギュアにしてもいいわね」
SE(小学校の教室/子供たちの歓声)
BGM
彼女:初めてこの学校へきてからちょうど3年目。
最初に教壇に上がったときは覆面のVチューバー。
臨時のキャリア講師だった。

転機は去年。キャリアコンサルタントの国家資格を取得したこと。

いまは、いろんな学校でキャリアタイムを企画・実施している。
もちろん、素顔で。
実務は、子どもたちの進路相談に乗ったり、キャリア形成の支援。

今だから言うけど私、ホントは昔から、子どもって少し苦手だった。
彼と真逆なの、ふふ。

子どもたちの前で素顔を見せなかった理由には、それもあるんだ。

でも、こんな小さな子たちが真剣に将来に向き合う姿を見ているうちに
ああ、子どもも大人もないんだなって。
それにみんな、なんでも私に相談してくれるから可愛くって・・・
あれ?
じゃあ私、なんで子どもが苦手だったんだろう。
SE(学校のチャイム/夕暮れのイメージ/カラスの鳴き声とか)
SE(SE〜LINEの着信音/会話の間にも着信音が鳴る)
彼女:ふふ。まるで定時連絡。
マメな彼から今日の予定が送られてくる。
彼:『おつかれ!
今日はこのあと職員会議だから夕食、1時間後でどう?』
彼女:私もルーティンで返信する。
『オッケー。私も教育委員会に顔だけだしてくるから』
彼:『じゃあ待合せはいつものカフェで』
彼女:『その前に行きたいとこあるんだけど』
彼:『どこ?』
彼女:「ねむ『ねむりの悩みを相談できるとこ』
彼:「『あー了解。じゃあ待合せ場所を変えよう』
彼女:『いいの?』
彼:『僕も行きたいと思ってた』
彼女:彼はいつもテンションが高いけど、
なんだか今日は私に気を遣ってる感じ。
私は返事を絵文字で返して、学校をあとにした。
<シーン2/ねむりデザインLABO>
SE(店内の雑踏/小走りの足音)
彼女:ああ。ハイヒールってちょっと走りにくい。
市が主催する定例のキャリア会議。
私の提案が白熱して長引いてしまった。

提案したのは「木工」。
いまの子どもたちに、木工の技術を知ってもらいたいの。
Vチューバーの私が「木工」って、なんかヘンな感じだけど
子どもの頃から木の温もりって好きだったんだ。

タブレット上でキャラクターを作って動かすだけじゃなくて
自然の木から形あるものを作るってこと教えたかったの。
家具屋さんの知り合いもいるしね(笑)
SE(街角の雑踏/小走りの足音)
彼女:余裕で間に合うと思ってたけど、
閉店まで1時間を切ったかな。

小走りで駆け込む店内。
向かうのは私たちの間でお約束。ベッドコーナーへ。

彼がスリープアドバイザーとなにか話してる。
顔は笑ってるけど、いつもよりまじめっぽい。
なんだなんだ?
彼:「おつかれ。結構時間かかったね」
彼女:「ごめんなさい。
委員会で、生成AIの授業をもっと深掘りしよう!
っていったら激論になっちゃって」
彼:「はは、君らしいな」
彼女:「あなたはなに話してたの?」
彼:「もちろんベッドの話だよ」
彼女:「どのベッド?」
彼:「うん、どれもこれも迷っちゃうんだけど、
これからのこと考えるとポケットコイルのマットレスかな」
彼女:「そう?どうして?」
彼:「だって、君は硬めのマットレスがいいって言ってただろ」
彼女:「うん。ちゃんと覚えててくれたのね」
彼:「寝返りもうちやすくて」
彼女:「そうそう」
彼:「体圧分散性も重要だって」
彼女:「うん。でもそれはあなたもでしょ」
彼:「そうさ、だからポケットコイルのマットレスがいいなって」
彼女:「あなたも買うの?」
彼:「2人一緒に買うんだよ」
彼女:「どういうこと?」
彼:「こういうこと」
BGM「インテリアドリーム」
彼女:そう言って彼は胸ポケットから小さな赤い箱をとりだした。
彼:「聞いてくれる?」
彼女:「ちょっとちょっと。待ってよ。ここで?」
彼:「そうだよ。だって3年前、2人の物語が始まった場所じゃないか」
彼女:確かに。
それに、閉店前でお客さんも周りにはちょうどいない。
さっきまで彼と話していたスリープアドバイザーも
ベッドの向こうで背中を向けている。
ふふ。
別に、見届けてくれればいいのに。
彼:「僕たち、まだ3年だけど、もう3年でもあるよね」
彼女:「そうね」
彼:「ここから先はずっと、2人一緒にいたいんだ」
彼女:「うん」
彼:「だから、このポケットコイルのベッドとともに
一生そばにいてくれる?」
彼女:「はい。います」
彼:「ありがとう」
彼女:「でも・・・」
彼:「え?」
彼女:「一生ベッド買い替えないつもり?」
彼:「あ、いや、そうじゃないけど・・・」
<シーン3/結婚式場>
BGMウェディングマーチ
SE(拍手と歓声/「おめでとう」の声)
彼女:そして私は、6月の花嫁になった。
私たちの新居には、マットレスが2台並んでいる。
1台は硬めにアレンジされた私用、
もう1台は柔らかめが好きな彼のベッド。
2台とも体圧分散性に優れたポケットコイルのマットレス。
木製のフレームが心地いい。

人生の1/3は睡眠。
睡眠の質を上げて、人生を豊かに。
BGM「インテリアドリーム」
彼:「いつまでも幸せにするよ」
彼女:「ありがとう」
彼:「僕の方こそ。
最高の人生にしてくれてありがとう」
彼女:「うん・・・。
いつまでも大切にしてね。
私も、ベッドも」
彼:「またそれを言う」
彼女:「ずうっと言い続けたらだめ?」
彼:「いや。ずうっと言ってほしい。
必ず約束を守り続けるから」
彼女:「あなたのそういうところ、好きよ」

照れながら見せる白い歯。
私、3年前、そのまぶしさに魅せられたの。
いつまでも笑顔でいられるよう、
2人で人生を作っていきましょ。

実は、今日は私、Vチューバーとしての最後のステージ。
だけど、舞台に立つのは一人ではない。

モーションキャプチャー用のマーカーをつけた
ウェディングドレスとタキシード。
結婚式場の大型ディスプレイに映し出された
私たち2人のアバターが照れくさそうにキスをした。
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