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ボイスドラマの内容
登場人物
- 彼女(26歳)・・・医薬品メーカー勤務のMR/社会人4年目。仕事に追われる毎日
- 彼(24歳)・・・システムエンジニア/社会人2年目。彼女と暮らし始めて半年
Story〜「聖夜の奇跡/IROTTA CHIC/前編」
彼女: | 「眩しい・・・」 思わず口を衝いて出た言葉に、周りを見回した。 ジングルベルの洪水のなか、誰もが足早に家路を急いでいる。 それはショーウィンドウの中で煌めく1枚の絵。 描かれた街にはクリスタルの雪が舞っている。 気がつくと、いつしか私は、絵の中の街を歩いていた。 腕を絡めて歩くのは・・・あ、パートナーの彼。 え?彼と私、さっきまで喧嘩してたんじゃなかったっけ? |
彼: | 「疲れてない?」 |
彼女: | 「大丈夫」 |
彼: | 「この先にあるお城のライトアップを見に行かないか?」 |
彼女: | お城?ライトアップ? そんなもの、この街にあったっけ? |
彼: | 「しっかりつかまって」 |
彼女: | え?バイク? いつの間にか私たちは、クリスタルに包まれたバイクに乗っている。 |
彼: | 「少し飛ばすよ」 |
彼女: | タンデムなんて、何十年ぶりかしら? よかった、スキニージーンズを履いてて・・・ ってあれ?私、今日、仕事だからスーツだったはず。 まあ、いっか。 彼がエンジンブレーキをかけるたびに、 クリスタルが散らばり、街が煌めいていく。 |
彼女: | 「きれい・・・」 |
彼: | 「だろう?でもお城はこんなもんじゃないからな」 |
彼女: | 「ねえ」 |
彼: | 「なんだい?」 |
彼女: | 「さっきはごめんね・・・」 |
彼: | 「なに?」 |
彼女: | 「電話で喧嘩、しちゃって」 |
彼: | 「え?なんのこと?」 |
彼女: | 「クリスマスの約束のこと」 |
彼: | 「クリスマスの約束?」 |
彼女: | 「とぼけないでよ。 来週のクリスマスを白銀の世界で過ごすって約束。 私、仕事でいけなくなっちゃったから」 |
彼: | 「なにを言っているんだい?クリスマスは今日だろ。 ほら、こうして一緒にいるじゃないか」 |
彼女: | 「え・・・」 ほどなく、煌めきに満ちたクリスタルのお城へ到着した。 夜空に舞うのは、クリスタルの雪。 彼の肩に頬をよせながら、私の意識は光と同化していった・・・。 |
彼: | 「お嬢さん、そんな格好じゃ風邪ひきますよ」 |
彼女: | 「あ」 |
彼女: | クリスタルの夢から私を連れ戻したのは、やっぱり彼だった。 |
彼: | 「さっきは、電話でごめんね」 |
彼女: | 呆然と立ち尽くしていた私の後ろで 落ちかけた私のジャケットをかけ直しながら、 |
彼: | 「考えたんだけど、クリスマスは家で過ごさないか?」 |
彼女: | 言葉に出しながら、彼がはにかむ。 |
彼: | 「何時になってもいいから、一緒にクリスマスを祝おう」 |
彼女: | 凍てついた私の表情もゆっくりと溶けていく。 |
彼: | 「あ、料理も僕が準備する」 |
彼女: | 「ホワイトクリスマスにして」 |
彼: | 「え」 |
彼女: | 「あれ」 |
彼: | 「ああ!」 |
彼女: | 視線の先にあるクリスタルの絵を見て彼の顔がほころぶ。 |
彼: | 「オッケー。さあ、寒いからお店の中に入ろう」 |
彼女: | 入口にディスプレイされた煌めく絵画たち。 まるで宝石のような光の中を抜けて、 私たちはインテリアショップへ入っていった。 |
彼女: | 「こたつも必要かも」 |
彼: | 「あったかいクッションも」 |
2人: | 笑 |